幸福こうふくに生きぬく糧

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7月法話「お星さま」

「星はなんでも知っている」という歌がありましたが、私たちの頭上に輝く無数の星は、昼も夜も私たちの日常生活を見つめています。古老が、「お天道さまは何時もお前たちを見ているから、悪いことをしてはだめだよ」と言われたことを思い出します。

夜空に輝いている星の中で、私たちが一番良く知っているのは北極星でしょうか。北極星は、天の北極に最も近い星で、私たちが住んでいる北半球ではこの星を中心に廻っており、その位置はほぼ一定して北を指しているので、夜の航海や旅の指標として人びとの安全や生命(いのち)を守ってきた星です。だから、この星に対する信仰は古くから格別に篤いものがあります。

真言密教には星曼荼羅(ほしまんだら)あるいは北斗(ほくと)曼荼羅といわれる絵画があります。それは北極星を中心とする北斗七星を神格化した妙見菩薩(みょうけんぼさつ)を中心として描いたもので、周りに九曜・十二宮・二十八宿を配する曼荼羅です。これは節分会の本尊として用いられ、天災・疫病の消滅や延命・息災などを祈願するものです。その典拠は、弘法大師が唐から請来した『宿曜経(すくようきょう)』に依るものです。「人は星の下に生まれる」と言われるように、それぞれが生まれた年によって定まる「本命星(ほんみょうじょう)」と年々巡って来る「当年星(とうねんじょう)」によりその年の吉凶を判断し、人びとが幸福(しあわせ)に過ごせることを祈念するものです。

夏の夜、庭に床机(しょうぎ)を出して寝そべって大空を見上げると、宝石を散りばめたような大小無数の星が輝いており、その星や星座にまつわる話に思いを馳せると宇宙の神秘を感じます。

今宵の星空は、「星の王子さま」が微笑んでいるのか、無数の星がキラキラと輝き笑っている様に見えます。願わくば、この宇宙に存在する生命(いのち)あるすべてのものが微笑むことが出来る世界となって欲しいものです。