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3月法話「牡丹餅(ぼたもち)」

今日から三月です。「暑さ寒さも彼岸まで。」寒い冬が過ぎると動植物が待ちに待った春が訪れます。春の彼岸は春分の日を中心に七日間です。今年は三月十七日が彼岸の入りで、二十日が中日、二十三日が彼岸の明けです。

彼岸はインドの言葉では「パーラミター」(波羅蜜多)で、「到彼岸」と漢訳され、河を渡って安楽の世界へ赴くことです。

彼岸の期間には、お墓参りをしての先祖供養は欠かすことができませんが、彼岸のお供えといえば、もち米と餡子(あんこ)で作ったお餅です。

老師から「春の彼岸にお供えするお餅は、漉し餡(こしあん)を使って牡丹の花のように作るので『牡丹餅(ぼたもち)』というのだ。一方、秋の彼岸に萩の花に似せて粒餡(つぶあん)で作るので『お萩餅』と呼ぶのだ」と聞いたことを思い出します。同じ食べ物でも季節によって呼び名が異なるのは、わが国文化の奥深さゆえかもしれません。

彼岸にはお墓や仏壇にお参りして、亡き人とのつながりを感じ、ご先祖さまに支えられて、今を生きている私たちがあることを見つめ直す時でもあります。

今の私たちの存在は、無数の名も知らぬご先祖さまが、それぞれの人生を生き抜いてつなげてきた絆(きずな)によるものです。季節が移り変わりながらもつながっているように、私たちも無数のご先祖さまとつながっているのです。

春の彼岸には、仏壇に「牡丹餅」をお供えし、家族そろってお参りしましょう。日常生活は慌ただしく過ぎて行きがちですが、この時ばかりは、日ごろ忘れているご先祖さまに感謝する機会としたいものです。